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毒舌
第3章 新生活のはじまり
時間をかけて
メイクをする間も
ゴチャゴチャと
ダメ出しをする
うるさい妖怪を無視して
私はツンと澄まし顔。
もう大人になるんです。
『は、だっせぇ。じゃあもう困った時も俺様を頼るなよ』
真新しいスーツを着こなし
朝食もそこそこに
私は家を出た。
気合いいれて
早目の初出社は当たり前、
通勤には地下鉄で
街中まで
出なくちゃいけない。
学生やサラリーマンで
ごった返す中
身動きがとれないでいると
目の前に
背の低いおじさんがいて
地下鉄が揺れるたびに
私の胸に顔を埋めて
ハアハア気持ち悪い。
なにこれ、痴漢……?
私と目があうと
照れ笑いしながら
すいませんと頭を下げて
たしかに
激混み状態だから
わざとじゃないのかも……。
『バァーカ。やる気でやってるに決まってんだろが』