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毒舌
第10章 琴美とおりょう
夢を見た。
庭先に立つ
背の高い着物姿の男の人が
険しい切れ長の目で
辺りを睨んでいたんだけど
こっちを見た瞬間
ふわりと目許が
優しくなって、
それを見たら
どうしようもなく
愛しくなった。
無造作に伸びた
ざんばらな銀髪は
ふわふわと軽く
風に揺れていて。
とても
この世のものとは
思えないくらい
完璧に美しい顔立ち。
どんどんと
こっちに歩み寄ってきて
私を抱きしめた。
(……誰?)
はじめて見るのに
懐かしさで泣きそうになる。