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毒舌
第10章 琴美とおりょう
「あんまり俺の手に触れんな。怪我するぞ」
夢の中の私は
私の意思とは関係なく
勝手に振る舞っていた。
ダメだと言われても
なお、その手に触れる。
長くて綺麗な
男らしい手には
鋭く細い爪が光っていた。
「貴方の爪になら引き裂かれていいわ」
本当に
触れただけで
よく切れそうな爪を前に
夢の中の私は
そんなことを言った。
切れたら
あきらかに痛そう。
男の人は
ちょっとムッとして
私を押し倒して来た。
何も言わない代わりに
あちこちに舌を這わせ
私を支配していく。
(……トビ……?)
爪で傷をつけないように
手を使わず
やわらかな舌が
全身を舐めあげていく。
そこにいたのは
美しく凶暴で優しい獣。