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毒舌
第3章 新生活のはじまり


「おはよー。噂は聞いてるわよ香島クン」


奥から現れたOLの一人が
舐めるように
香島さんを
上から下まで見ながら
声をかけてきた。


「噂?マジですか」

「A支店に私の友達がいるの。噂に違わぬイケメンね。今日は早速同伴出社?」


何故か
私をチラリと見ながら
そう言われた。

……何?


「勘弁してくださいよ、初日ですよ。たまたまエレベーター一緒だったんですよ」


香島さんが
私を振り返る。


「あれ、でも可愛い娘だ。香島直哉です、ヨロシク」


私は咄嗟に
香島さんから目をそらし
先輩OLを見た。


「今日からこちらで働かせていただく笠本琴美です」

「新人さんね。朝来たらここでタイムカード。はいこれ名前書いて。笠本さんの担当は誰だったかしら」

「冷たい。俺にも色々教えてください」

「山田部長ならまだ来てないわよ」


そんな二人のやりとりを
軽く聞き流して
カードに
自分の名前を記入していると

先輩はコッソリ
私に耳打ちした。


「彼には気をつけてね。女癖悪いみたいだから」

「わかりました」


私がほぼ
無表情で返事をすると

トビがせせら笑う。


次々出社してくる人の
邪魔にならないよう
ロッカールームへ移動した。


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