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毒舌
第13章 豹変
耳を塞いでいても
その音は聞こえた。
コンコンっ、と
急かすように
少し早いノックの音、
扉一枚の向こうに
香島さんが立っている。
全身の血が
サッと引いていった。
「あら、なにかしら」
先生が
まったく
焦るそぶりも見せず
返事をする。
「あのさぁ、……何してるの?すげぇ心配なんだけど」
扉の向こうから
香島さんの曇った声がした。
生きた心地がしない。
「あら。どおしてかしら。」
私の声が
きっともれてたんだ……!
先生の指がなおも
的確に私を追い詰めていた。
歯を食いしばって
息一つもらすまいと
必死に耐える私に
先生は
クスクスと笑い続ける。