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毒舌
第17章 別離の刻
視界は一面
横殴りの白に占領され
最早眼を開くことに
意味はない。
切り裂く風の音が
うねりをあげて
走り回る。
空と大地の
境界線すら掻き消され
こうも閉ざされた
雪の季節では
自慢の鼻さえ
あまり役に立たず、
すべてが等しく
無へと近付くようだった。
以前なら
そんな絶界も
胸を踊らせることが出来た。
この肌を刺そうとする
空気の凍てつきは
未だいとおしかったが
そこには真紅が足りず
満たされない。
触れたいと思う、
今すぐにでも。