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毒舌
第17章 別離の刻
痛みや苦しみを伴う癖に
それを悦びと語る意味が
どうにもわからねぇ。
そう
理解出来るわけがねぇ、
俺と出会う
以前のおりょうが
何を抱えて
何を感じ
何を殺して生きていたのか
知りもしないんだから。
わかるのは
今のこの悦びだけ。
直に伝わる
感情だけだ。
じゅうぶんだろ、
悔いのない今を
持てる力のすべてで
真っ直ぐに向き合えるなら。
過去にも未来にも
とらわれることのない
現在(いま)に
すべてをぶつける。
「救ってやれねえのが口惜しいが」
「この性は宿命だから仕方ないのよ。だけどトビに出逢えたのも運命だもの。そう思えば満足だわ」
「……欲のねえ女だな」
「そんなことないわ……トビが欲しいもの」