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毒舌
第18章 ないですよ。
すっかり青ざめて
震えが止まらないまま
無意識に口を開いた。
「私、香島さんとお付き合いするつもりないです」
自分にも
言い聞かすように
ゆっくり
呟く。
今だって
立っていられなく
なりそうなくせに
不安がいっぱいで
誰かにすがりたいくせに
それでも
突き放さないと
私は
弱くなるだろう。
「こんな私なんかを、好きになってくれて、ありがとうございます。」
茫然とした眼差しが
掴んでいた握力さえなくし
するりと抜けた手を
私が引っ込めた。
ぺこりと頭をさげて
一礼したあと
小走りに去る私を
香島さんは
呼び止めも
追いかけもしなかった。