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毒舌
第20章 初恋
「ほんとはやなの。自分を見ていてほしいの。愛されてたいの。でもそれが叶わないとわかった上で、それでも好きで」
他の恋に行けたら
ずっと楽なのにね、と
私を撫でて
イッちゃんが言う。
「誰かを好きになる、って、ほんとは絶対譲りたくない自分の主導権すらも呆気なく渡しちゃうことのような気がする。琴美になら合わせていい、だから琴美が答えを出してほしい」
「答え、?」
静かな空気の中で
ふわふわと
くすぐる指先が
熱を帯びて私を急かす。
「そうだよ。どんな答えでも。受け入れるしかないんだアタシたち」
フラレに来たと
言ったイッちゃん。
でも
それ以外の答えを
待ち望むような目が
すぐそこにある。
不安や緊張で
バクバクと走る心臓が
勝手にどこか
行ってしまいそう。