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毒舌
第30章 小さな絆
『せっかくひとに生まれたんだ。その生を謳歌しろ』
トビの
時折堅苦しい
上からの物言いは
ふんわりと
暖かく私を包む。
『その代わり、俺が人間に生まれ変わりお前と共にいく時には、――もうお前に自由はない。覚悟しておけ』
それは
“今”ではない、と
じんわり痛みを与えながら
でも確実に
愛の言葉で
私を蝕んでいく。
私。
私も――
(妖怪になれたらいいのに!)
『あ?』
トビの声が
それまでの
熱を含んだ艶を消した。
『何言ってんの?お前』
(私が妖怪になれたら、トビと一緒にいられる。ずっとずっと)
人間の短い人生より
きっと永く。
『お前の魂は神の器に護られてんだぞ?妖怪になれるわけねえだろ』
頭の悪い子を
たしなめるような
残念なトビの声が痛い。