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毒舌
第30章 小さな絆
権力者にとっては
自分より偉いものが
存在してはならなかった。
神も、
神の遣いの巫も、
ましておりょうは
もたらされた禍が
神への信仰のなさだと
進言した。
(魔女狩り……みたいなものかしら)
『まぁ違いはねえな。処刑だなんだに適当な理由をでっち上げ。――無抵抗に殺されてったおりょうが、俺は今でも許せねえ』
(無抵抗?)
――――――――
――――――
「おりょう。日が昇る前に逃げるぞ」
「なぜでございますか?」
「このまま処刑をさせるわけにはいかん!」
牢を破ろうとやってきた
夫である男。
おりょうは初めて
この男に対し
表情らしきものを見せた。
「わたくしは。一生分の恋をしてじゅうぶんに幸せでありました。悔いは何もありません」