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毒舌
第30章 小さな絆
『おりょうはもっと生きようとはしなかった。男と逃げて幸せになろうとはしなかった』
残酷な結末を
迎えさせてしまった後悔が
トビから伝わってきた。
(でもね、トビ。おりょうを幸せにしたのはトビだったんだよ)
一生分の恋を
私はまだしてないけれど
おりょうの気持ちは
わかる気がした。
『俺の声が届いていたなら、おりょうはもっと違う道を選んだはずだ』
(そうだね。私はもっとトビと一緒にいたい)
『……じゃなくてだな。もっと普通に人間の男と結ばれればいんだぜ?』
はあ?
途端にムッとする私に
トビは追い討ちをかけた。
『せっかく向こうから救いの手を差しのべてる男がいるんだ。おりょうもお前も、頭悪すぎだろ』
…………
なんだろう。
私とトビって
ずっと同じことを
堂々巡りみたいじゃない?
なにこの平行線。