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毒舌
第30章 小さな絆
だけど
その夜見た夢は
トビとの甘い夢ではなくて
無数に伸びてくる
黒い手が
何かを探すように
私の体をまさぐる夢だった。
誰かがそれを
じっと見ている
冷たい視線、
囚われて
動けない私、
感情も意思も持たない
無慈悲な手は
次々に私を
暴いていくの――。
一体誰が
何を探しているの?
私の意識は
夢の中にあって
冷静さを保っていた。
(そうだ……あの痴漢みたいな人たち。あの時のアレは、いやらしさじゃなくて、……何かを探していたんだ。体を触られたっていっても何かおかしかった)
服の中でもなく
まるで
体の中を。
それはおよそ
人間の行為ではない。