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毒舌
第32章 日常非日常
寂しくない?と
問われた意味はわかる。
トビがいなくて
寂しくはないか。
寂しくないわけはない。
ずっと
ここにいたトビが
見つからないんだから。
記憶の中にしか
もういないのだから。
ほんとうに
ただの
夢だった気にすらなる。
それはもう
寂しいなんて言葉では
言い尽くせない。
「寂しくないですよ」
真っ白に近い胸は
痛まない。
悲しくないし
切なくない。
トビが帰ってくるまで
気持ちは
眠ってしまえばいい。
大好きで
そばにいて
でも触れられなかった。
あのもどかしさに比べたら
ちょっと
今はただの
遠距離恋愛なだけ、
むしろ
普通な気がする。
「寂しくないです」