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毒舌
第33章 見えない魔の手


逆側の手も
同じように囚われて

気付けば私が
磔になっていた。


「りおくん???」


何が起きているのか
思考が追い付かない。


「てっきり彼氏なんだと思った。キスしてたし」

「っ!?」


見られたことのショックと
現状へのパニック

言葉がすぐには出てこない。


「……違うのか、ふぅん」

「あの、これっ」


慌ててる私に
りおくんが
いつもと違う
冷たい笑いを
ねっとりと浮かべ

静かに呟く。


「琴美さんて、もっと清純派かと思ってた」

「どういう、意味……っ」

「どう?そのままの意味だけど」


自分では今でも
清純派のつもりだけれど

りおくんからはもう
そうは
見られないのだろうことも
理解が出来た。


誤解だと言って
納得させるには

香島さんとの関係は
なんだかややこしいし

トビの説明をするのは
どうにも気が引ける。


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