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第33章 見えない魔の手

「琴美さんの匂い、すごい好き」


肩の上に乗せられた
おでこが重たい。

ぽつりぽつり
呟かれる内容に

思わず
トビを浮かべる。


いつの間にか
伸ばされたりおくんの手が

服の上から
触って来ていた。

あんまりそっとだから
最初はわからなかった。


「りおくん……」


困った顔で名前を呼んだら
文句を言わせないためなのか
口をふさがれる。

トビとも
香島さんとも
イッちゃんとも違う

唇の味。