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毒舌
第36章 花びら
完全に頭の中が萎れてしまったみたいに、冷静あるいは不感症。いくら大好きなトビが愛でてくれても駄目なものは駄目。
私の異変に気付いたトビは意外そうに、でも納得した顔で呟く。
「見られたほうが興奮すんのかと思っ――悪かった」
涙目で肩越しに睨み付ける私にトビは肩をすくめた。確かにトビに見られてるとか意識してるのは余計に緊張したけど!一緒にしないで。トビとの時間に第三者なんていらない。
「俺が頼んだんだ、ごめんね琴美ちゃん」
香島さんにも文句を言いたかったけど、別にからかってるふうでもなくて何も言えなかった。
「余計に嫌われたかもしれないけど、最後にちゃんと幸せそうな琴美ちゃんも見れたことだし。邪魔者はようやく退散できそうだよ」
意味ありげにそう言って、香島さんはベッドに座り込んだままの裸の私に微笑んだ。すっかりスーツに着替えた完璧な装いで、ソファーに座って今まで私を見てたんだと思うとますます恥ずかしい。
膨れっ面をしてたら頬を撫でられた。
「そんな可愛い顔で見送られても余計に意地悪したくなるよね」
「なっ!?」
軽いリップ音をたてておでこにキスを落とした香島さんにうろたえたけど、そのまま香島さんは帰っていってしまった。
おでこを擦っているとトビの腕が後ろから絡んで来る。
「もうそんな気分じゃなくなったか?」