この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒舌
第37章 禁断
さらに頁を捲って、思わず目を疑った。今度は全身が写っていたが、ある一点に視線はいってしまう。何か見慣れない、いや逆に見慣れた?いやいや、やっぱり見慣れない何かがアレだ。
「はあ?」
「一華ってね、女の子と男の子の合わさった体をしてるのよ」
うふふふと笑う姉貴に俺は白い眼を向けた。
「返す。」
「あらどうしてよ」
「そんなもん見て元気になるのは変態の姉貴くらいだろ」
冷たく言い放つと姉貴の細く長い指が俺の股間に絡み付いて来た。
「なっ」
「しばらく運動不足で退屈なんじゃなぁい?」
「うるさ…ば、ここ病院だぞ、やめろよ」
病室は一人部屋とはいえカーテンの向こうには扉が開いたままの廊下がある。ひっきりなしに人の気配がするそこで悪ふざけを始めた姉貴に焦る。
「ちょっとしたボランティアよ、優しいお姉さまに感謝をしなさい」
慣れた手付きで擦りながら怪しく微笑む馬鹿姉。思春期の頃にも散々玩ばれ、逆に女の子の扱いを仕込まれたものだけど、あいにく俺の息子は寝たままだった。
「あら、まだED治ってないの」
いつからだったか調子の悪い体はさっぱり女の子に欲情しない。いや、そうだったかな、そんなはずはないけど。
何度しごかれてもまるで反応しない、でも今俺、何か思い出しそうだった。
誰かいたような気がする。
大切な女の子が、誰か。
風に揺れる病室のカーテンを見ても何も思い出せない。まるで、夢でも見たけど思い出せない時のように。思いだけが取り残されていた。