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毒舌
第38章 ≡最終章≡
「ルタは余計な心配しすぎだよな」
くしゃくしゃと頭を撫でられルタは黙る。普通のひとは鼻水をつけられるのは嫌だし怒ったりする。誰かを抱えて生きるのはしんどいしうんざりする。だけどアーガには余計な心配らしい。
「アーガって」
変だよね、と言いかけて言葉を飲んだ。アーガが優しい目でルタを見ていた。
そのままルタが言葉をなくしていたせいか、アーガは話を続けた。
「ルタは覚えてない?ルタや俺が生まれる前」
「生まれる前?」
「……覚えてないか、まぁしょうがない」
アーガはそう一人で納得したように言う。
「――何を覚えているの?」
ルタの知らない物語が、アーガの中にはあるのなら。
「私にも見せて。アーガの観た世界を」
「本じゃないぞ?」
「うん。いいの」