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毒舌
第41章 練習SS←
SS①『もしも烏が優しかったら』


「やぁひとり?」


夕暮れ時の公園で一人、長くのびた影を見るのに夢中になっていたことみは驚いて顔をあげた。知らないおじさんがこちらを覗き込んで笑っている。


「さっきまでね、いっちゃんとかおりちゃんいたよ」

「そっか。おじょうさんはまだ帰らないの?」


おじょうさん、なんて呼ばれたのがくすぐったい。ことみはあどけない笑顔を返した。


「影がすごーく背ぇ高のっぽさん、見てみて!ことみの影長ぁい」

「ほんとだ。俺の影はもっと長いよ」


ことみは一生懸命腕を高く挙げてぴょんぴょんと跳ねた。それでもおじさんの影のほうがずっと長い。


「ことみの負けー」

「ことみちゃん。まだ帰らないならちょっとおじさんのお願いきいてくれるかな」

「なーにー?」


ことみは一緒に遊んでくれるおじさんにニコニコと不用心な笑顔を向けている。


「もうすぐ夜になっちゃうだろ?おじさん探し物があるんだけど暗くなる前に見つけたいんだよ」


人もまばらになった公園の遊具の中は結構な死角、だけどもことみは遊び慣れた景色に何の危機感も覚えない。

腹の中には妖怪が一つ。しかしこの妖怪、未だことみに話しかけたことがない。己の存在に気付かれないように息を潜めてさえいた。


「ことみちゃんの中には秘密がいっぱいあるね」

「ひみつー?」


「不思議な声が聞こえたことないかい?他の皆には聞こえないような」

「わかんなーい」


薄手のワンピースの上からそっとお腹を撫でられ、ことみは不思議そうにそれを見ていた。


「きっとことみちゃんのこと、見てると思うんだけどなぁ、」

「ふは、くすぐったい」


夕焼け色の公園の街灯が点り始めていた。


「おっと。暗くなる前に探さないとね」


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