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毒舌
第41章 練習SS←


SS②『アーガとルタと』


その日はずっと霧雨だった。ルタの前髪がしっとりと貼り付いて、いつも見ている顔なのに不思議と色気が増して見える。


「寒くないか?」


背中をさすってやるとルタは小さく笑って返事をした。


「大丈夫だよ。ちょっと蒸し暑いくらい」


それでもがっちりと腰を寄せて座る。離さないように。うだるような暑さもルタの体温なら心地いい。ただしルタは体が弱いから扇いで胸元に風を入れてやる。ルタは周りを気にしてか、引っ張っていた服をすぐに直されてしまった。


「いいよ、大丈夫だからっ」


ルタはそういうがアーガは大丈夫ではない。涼しい顔をしていても今一番ムラムラと熱いのはアーガだ。ルタのスカートの中で圧を増していくアーガにルタも気付いていく。

最近頻繁に起こる現象だから、それがどういうことかもルタにはわかるはずだ。アーガはそれとなくルタの体を触り、押し付けてみたり擦り付けたり。大勢人がいる教室でそれをする。

ルタの顔は次第に赤くなり口数は減る。アーガにしがみついて凍り付いてしまう。

おとなしく耐えているルタはふるふると小動物のようであり、一段と可愛い。


「ルタ?具合でも悪いの?」


後の席にいたカインが心配そうにルタの顔を覗き込む。ルタはすかさずアーガの肩に突っ伏して顔を隠した。


「アーガ。保健室に連れていってあげたほうがいいんじゃ……」

「あ?ルタのことは俺が一番わかってる。余計な口を挟むなよカイン――ルタに気があるかもしれないけど、迷惑だ」


どんなにカインがルタを好きになっても、アーガとルタの間には入り込む余地がない。アーガに冷やかされカインは顔を赤くして悔しそうに逃げていった。


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