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出会いは必然に
第6章 全ては必然に
「半田さん。お待たせしました。弊社の担当者です。
大きなお取引になると思いますので、私一人ではなく、
他にも担当を付けさせていただきます」

なんなの?

「再度確認をしたいのですが、あのブローチは大川氏の物で間違いはないですね?」
「・・・・はい」
「半田さんはあのブローチの意味をご存じで今日付けていらしたんですか?」
「・・・いいえ」

そこで5人の男たちは顔を見合わせた。

「知らないとなると、どこから交渉に入ったらいいのか・・・・」
「大川氏の事はどこまでご存知ですか?」
「・・・・全く知りません」
「そうです、か。では大川氏の事から少し話をいたしましょう」

そう前置きをして、ゆっくりと話しだした。

「大川氏は5年ほど前から頭角を出した新鋭のデザイナーです。
デザインと言っても洋服ではなく、商業デザイナーです。ロゴマークなどの・・・です。
3年前に、イタリアの世界的権威のある新人賞も受賞しています。
今現在で、日本人でその賞を受賞しているのは大川氏を入れて2人だけです。
その副賞がそのブローチです」

「新人賞・・・」
参加賞じゃないじゃない!

「その後なぜか、大川氏は引く手あまたの仕事を一切引き受けず
休業宣言をして業界から消えました」

消えた・・・・

「弊社は大川氏に仕事を依頼したくて何とか接触を試みましたが
居場所すらつかめていないのが現状です」

うん。電話持ってないしね。

「そこで交渉です」

「弊社の全社リフォームの話ですが。半田さんにお任せしましょう」

予定はないって30分前に言ったくせに・・・・

「その代わり、大川氏に仕事を引き受けてくださるように
説得していただけませんか?」



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