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短編小説
第5章 君の為なら(タイバニ)
春の日差しとバーナビーの部屋のソファは魔物だと実感した。

「まだ眠ってて良いですよ虎徹さん。」

子猫をあやすように指を彼の髪に絡める。

「バニー、くすぐったい…。」
「くすぐったいならもっとくすぐってあげましょうか?」

にやりと口元に笑いを浮かべうとうととまどろむ虎徹の耳の後ろに指を滑らせるとびくりと身体を震わせて飛び起きた。

「な、何すんだよ!」
「やっぱり眠らないで下さいくすぐってあげますから。」

突然バーナビーの指が虎徹の喉を這う。

「こらっ!眠りを妨げるなよっ!んっ!」
「可愛い反応しますね、それだからみんなからいやらしい目で見られるんですよ。」

長く白いバーナビーの指が服越しに虎徹の脇腹をなぞる。

「ふっ!ん…止め…。」
「そんな甘い声あげると…お仕置きしちゃいますよ。」

優しい、蕩けるような声でそっと虎徹の耳元で囁き舌先で彼の耳端を舐める。

「やっ!ああっ!」

低い虎徹の声質は快楽を感じると甘さを増す。

そんな年上の男を恋人にしてますます虎徹という人間を深く愛さずにはいられなかった。

バーナビーにとって虎徹は愛しくて愛しくて一分一秒触れたくて仕方ない。

呪いから解放された兎のハンサム王子、とネイサンがからかっていたが事件が終わり人が変わったようにバーナビーは虎徹を柔らかく束縛するようになった。

最近では毎日退社すると自宅に攫うように連れ帰り、出勤も一緒。
ヒーロー仲間はみんな呆れ顔。
そんな事すらもお構いなしなバニー事バーナビーは虎徹を抱き締めそっとソファに寝かせ顎や頬に口付けた。

「本来なら虎の俺がお前を食べる側なのに…。」
「虎徹さんは可愛い子猫です、本当に可愛らしい。」
「あー、頼むからバニーちゃんおじさんを猫ちゃん扱いしないでね?」
「虎徹さんをたくさん可愛がって愛してあげますよ今夜も。」

どこまでも甘い年下の美しい恋人。
ちゅっと濡れた口付けの音が虎徹の耳をくすぐる。

可愛いとか言われると恥ずかしいし、擽るようなもどかしい愛撫が始まれば夜遅くまで止まらない。

「ん…頼む…もう擽らないでくれ。」
「キスだけでくすぐったいなんて虎徹さんはとても感度がいいんですね。」


虎徹はまた眠れないな、と小さく呟いて重ねられるバーナビーの唇に素直に応えた。

【タイトル】モノクロメルヘン
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