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第5章 繋がらぬ想い

　…秀一には言えないもん、あのこと……



　脳裏に菜摘先生の顔が思い浮かぶ。


　それを追い出すように、
ふぅっとため息を吐く。



　ダメだよね、こんなんじゃ……


　ちゃんとしっかりしなきゃ……




「…妃奈浬お嬢様」

「…えっ……？」



　秀一を見ると、先程までの微笑みはなく、
不安げな顔で私を見つめている。




「お嬢様が最近そのような…
辛そうな顔をしているのは、私のせいですか？」

「え……えー…と……」




　目をそらしたかったが、目をそらしたら
「はい」と言っているようなものだと思い、こらえた。


　答えられない……

　どう言ったら…？





「やはりなにか……


悩みごとがあるのではないですか？」



「……っ！」





　ドクンッ




　図星をつかれ、鼓動が早くなると共に緊張で身体が硬直する。