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執事とお嬢様の禁断の模様
第3章 私を見て


「きゃぁぁっ!?!」


 びっくりした私は思わず、裏返った声を出してしまった。


 バンッ!!


「妃奈浬お嬢様!?」


 ドアが勢いよく開く音と共に、浅葱が驚いた顔をして、
あわてて私の部屋に入ってきた。


「きゃぁあぁっっ!!?!?」


 あ、浅葱!?!

 自分の顔に一気に身体の血が集まったのがわかった。
 私はとっさに自分の髪の毛で身体を隠す。


「…っ!! 失礼しましたっ…!」


 浅葱は顔を真っ赤にしたと思ったら、きびすを返して部屋から
出て行こうとした。


「ま、待って…!!」


 ぎゅっ


「…っ!?」



 えっ…私、なにしてるの…?

 自分でも自分のしていることが信じられない。


 私は部屋から出て行こうとした浅葱の服を、とっさにつかんでしまったのだ。



「お、お嬢様…?」



 浅葱は困惑しているのか、微かに震えた声で私に問う。


 わ、私、なにをするつもりだったの…?

 恥ずかしさと混乱で、自分の手が微かに震えているのがわかる。


 実は浅葱が去っていくのを見たら無性に寂しくなって、
つい引き止めてしまったというのが本音だ。

 だが感覚的に引き止めてしまったため、いざとなってはなにもできない。



「……あ、あさ…ぎ……」



 やだ!なんで話しかけちゃうの…!?

 でも…でも、話しかけるより他にどうすればいいの……?


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