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執事とお嬢様の禁断の模様
第4章 更なる山道


 お屋敷に帰り、秀一はあらかじめ呼んでおいた他の使用人に私を襲ったその人を引き渡した。

 でもなぜだか私は帰り道、秀一がその人も連れてきているのに気づかなかった。
薄暗かったからかもしれないけど。


 部屋に戻ってから、秀一は気を利かせてくれたのか紅茶を入れてくれた。

 私のはミルクとハチミツ入り。秀一のはストレートティーだ。



「ねぇそういえば…なんで私は1人で家に帰ったのに、秀一はわかったの? 
あんなことになってるって…」


 部屋で紅茶を飲みながら秀一に聞く私。

 秀一は飲もうとしていた紅茶を一旦置いて、話し始めた。


「わかっていたわけではないのですが、私もお嬢様を1人で帰らせるのは
危険だと思ったので…失礼ながらすぐに後をつけようと思ったんです。
でも、菜摘先生に引き止められてしまってなかなか……
それで妃奈浬お嬢様を急いで追いかけたところ、あんなことになっておりまして…」

「あ……」



 秀一は微かに瞳を揺らがせながら、私を見つめる。



「…もう少し遅かったら、あなたは……。本当に、申し訳ございませんでした」

「秀一…いいの。大丈夫だから…今日は、助けてくれてありがとう」

「…妃奈浬お嬢様……」



 私は秀一に笑いかけるも、秀一は自分を責めるような瞳で私に謝ってくる。



「しかし…私の対処が間違っていたということです。万が一のことも考えて、
先生のお誘いも振り切るべきでした…」

「…誘い…? 菜摘先生に、誘われたの? なんて?」



 誘い、という言い方をされて、少しぎょっとしてしまった。

 意味はわかっていても、どうしても気になってしまう。


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