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執事とお嬢様の禁断の模様
第4章 更なる山道

 そういえば秀一、我慢できませんって
言ってたけど…なにも手を出してこないな……

 我慢してるのかな……


 湯に浮かぶ淡いサーモンピンクの
花びらを見つめ、息を吹きかけて
手持ち無沙汰に遊ぶ。


 私だって本当は秀一にくっつきたい
けど…恥ずかしいし……


 実はさっきから秀一に気づかれぬよう、
少しずつ少しずつ秀一に接近している。


 秀一にぎゅってしてもらいたい……


 水面に映る私の顔は、どこか切なげだ。


 ふぅっとため息を吐く。



「秀一……」


「はい、妃奈浬お嬢様」



 バシャッ!



「~~~っ?!」



 私は驚いて勢いよく秀一の方を向いた。

 秀一はなにやら驚いている様子。


 うそっ…もしかして今の口に出てた?!



「どうかしましたか?」

「っ…な、なんでもっ…」



 私がごまかすと、後方から
クスクスと笑い声が聞こえた。



「…寂しいなら、来ればいいではないですか」

「えっ……」


「…さっきから、私の方に寄ってきていますよね」

「っ~~!?!」



 秀一の言葉に、顔が熱くなる。


 ばれた…



「だっ…だって、なんか…あんなこと
言われたら期待しちゃうし…っ…」



 もういいやと思った私は、
半分自暴自棄で告白することにした。



「あんなこと?」

「が…我慢できませんって…言ってたでしょ……」

「………」

「秀一っていっつもそう…
期待させるだけさせといて、ずるいよ……」



 なんかそういうことずっとされてると、
好きなの私だけなのかなって…不安になる。

 ただでさえ、自分に自信ないのに……


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