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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
祭壇の前には俗にいえば〝お宝の山〟と言えるべき財宝が所狭しと積み上げられていた。それらを取り囲むように、十数人の男たちが車座になっている。彼らは財宝を指さしては声高に興奮気味に何か喋っているが、小紅のところまで内容は届かなかった。
時折、〝買った〟とか〝いいや、儂は五十両といわず、八十両出そう〟などと声が飛び交っているところを見れば、これらの盗品と思しき品々を競り(オークシヨン)に掛けているのであろうことくらいは察しがつく。つまり、盗品売買だ。立派な犯罪である。
時折、〝買った〟とか〝いいや、儂は五十両といわず、八十両出そう〟などと声が飛び交っているところを見れば、これらの盗品と思しき品々を競り(オークシヨン)に掛けているのであろうことくらいは察しがつく。つまり、盗品売買だ。立派な犯罪である。