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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第13章 第一部第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 龍馬という男
そこで龍馬はふと立ち止まった。懐から紙包みを取り出し、小紅におもむろに差し出す。
「これを食べてみんかえ」
小紅は懐紙に包んだそれを受け取り、開いた。薄桃色の餡切りが行儀良く並んでいる。全体は黄色で中心から上部がほんのりと桃色に染まっていて、桃を象った菓子である。口に含むと、ほろほろと溶けて上品な甘さが広がる。菓子全体が餡でできているのだ。
小紅は早速、ひと口食べてみた。龍馬が息を詰めて様子を見守っている。
「これを食べてみんかえ」
小紅は懐紙に包んだそれを受け取り、開いた。薄桃色の餡切りが行儀良く並んでいる。全体は黄色で中心から上部がほんのりと桃色に染まっていて、桃を象った菓子である。口に含むと、ほろほろと溶けて上品な甘さが広がる。菓子全体が餡でできているのだ。
小紅は早速、ひと口食べてみた。龍馬が息を詰めて様子を見守っている。