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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第14章 第一部・第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 熾火(おきび)
 それでも、あんな傷ついた状態の彼をあのままにしてきたことが小紅を深く後悔させていた。
 龍馬は苦笑いを浮かべて言った。
「それにしても、あの男はおまんにベタ惚れじゃのう。確かに小紅どのほどの女なら判らんでもないけんど、小紅どの、男にも様々じゃけん、ああいう坊ちゃん気質(タイプ)は甘やかすばかりじゃいかんぜ。時には、おまんなんぞフッてやると肘鉄を思いきり喰らわしてやるのも、ええ薬になる」
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