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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第14章 第一部・第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 熾火(おきび)
「俺は本気じゃけん。俺と一緒に土佐に来(き)いや。昨日も話したように、うちの家族は皆、気さくな人間ばかりじゃけんの。きっと義母上も兄上も姉上も小紅どのを気に入る」
小紅は間近にある龍馬の顔から、ふっと顔を背けた。
「私には栄佐さんがいますから」
頬が燃えるように熱い。途端に、龍馬が弾けるように笑い出した。
「冗談じゃ。ほんにからかいがいのある女じゃのう」