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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第14章 第一部・第三話【戀月桜~こいつきざくら~】 熾火(おきび)
「―酷い、坂本さままで私をおからかいになるのですか!」
 小紅の眼にまたじわりと涙の粒が盛り上がったのを見て、龍馬は慌てた。
「す、済まん。済まん、まっこと、俺が悪かった。ああ、また泣かせてしもうた。頼むから、泣かんでくれ。俺は小紅どのが泣いたら、どうしてええが判らんがの」
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