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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第2章 【残り菊~小紅と碧天~】 恋一夜
「ご飯、お代わりをよそいましょうか?」
「いいえ。それは良いの」
 小紅は礼を言ってから、お琴の方へ膝をいざり進めた。
「ところで、少し訊きたいことがあるんだけど」
「はい、私でお応えできることであれば何なりと」
 小声で話し出した小紅にならうように、お琴も声を低めた。いささかお喋り好きな嫌いはあるが、けして愚かな女ではない。
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