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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
「あっ」
 押しつけられた舌の感触と熱さに、小紅は堪えきれず、あえかな声を上げて身体を跳ねさせた。
 今、この場でこの女の着物を果物の皮をむぐようにすべて脱がせ、その白い素膚の上をこうして唇で舌で存分に味わえば、どれほど甘美なことか。きっと眩しいほどに輝く純白の身体中から甘い蜜の花の味がするだろう。
 栄佐の脳裏を再び淫靡な妄想が支配しそうになったその瞬間、小紅が彼を震える声で呼んだ。
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