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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
 たとえ、どれほど生きたいと願っても、時期が来れば死は訪れるものだし、逆に、すべてに絶望して死にたいと思っても、御仏が決めた生命の数が尽きるまでは人は死ねない。
 住職はそう教えてくれた。
 ならば、おきみは既に定命だったのかもしれない。その話をすると、栄佐は呟いた。
「定められた命、か」
 力なくうなだれる男の身体にそっと両手を回し、小紅は抱きしめた。男と女など関係ない、ただ相手を想い労るための抱擁。
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