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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命
既にその時点で、栄佐は長屋の住人たちには、おきみの病が痲疹であったことを告げていた。が、流石はこの長屋の住人というべきか、騒ぎ立てたり、おきみや智助を避けたり恨んだりする者は一人としていなかった。
智助の症状はわずかずつではあるが快方に向かいつつあり、それがせめてもの救いであった。朦朧としていた意識もはっきりとし、熱もほぼ落ち着いた。いちばんの懸念であった腹痛や嘔吐下痢は智助には出なかった。
智助の症状はわずかずつではあるが快方に向かいつつあり、それがせめてもの救いであった。朦朧としていた意識もはっきりとし、熱もほぼ落ち着いた。いちばんの懸念であった腹痛や嘔吐下痢は智助には出なかった。