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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第20章 第二部・第四話【悲願花~女になった男~】 定命  
 しかし、意識が定まったときは、智助が大好きな祖母が既にこの世の人ではないことを知るときでもあった。
「おばあ、おばあ」
 声を上げて泣きじゃくる智助を小紅は抱きしめて一緒に泣いた。おきみの葬式のときは、智助はまだ生死の淵をさまよっていて、祖母が死んだことすら判っていなかったのである。
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