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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆
 春になれば、助蔵はいなくなる。春は出逢いと別れの季節でもある。この長屋からも一定の歳になってお店に奉公に出てゆく子どもたちがいる。或いは職人になるべく、親方の元に住み込んで弟子入りするために出てゆく子どももいる。
 来年の春になった時、自分はどうしているだろう、そして栄佐は?
 口にできない想いを胸に無理に押し込め、小紅は口を開いた。
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