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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち
流石は旗本の掛かり付け医だけあり、来ている羽織袴も絹製で上等なものである。品も良く、身分を笠に着て奢ったところもなく、小紅のような少女にも丁重に接してくれた。
小紅は医者に深々と頭を下げ、番頭が見送りにいった。医者を送り届けたその足で薬を貰ってくるとのことだった。
小紅は障子を閉め、武平の枕辺に座り込んだ。
人間とは何と儚いものか。つい今し方まで元気で笑い話していた人がこんな風に物言わぬようになってしまう。
小紅は医者に深々と頭を下げ、番頭が見送りにいった。医者を送り届けたその足で薬を貰ってくるとのことだった。
小紅は障子を閉め、武平の枕辺に座り込んだ。
人間とは何と儚いものか。つい今し方まで元気で笑い話していた人がこんな風に物言わぬようになってしまう。