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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち
たとえ叔父の悲願であろうと、これだけは譲れない。父の残した借金をすべて肩代わりしてくれた叔父への恩義はいまだ忘れてはいない。が、だからといって、そのために自分の一生をこの難波屋に縛り付けられるわけにもゆかないのだ。
いや、百歩譲って、難波屋のためなら、生涯を捧げても良い。叔父が守り続けてきた大切な店なのだから。ただし、それは難波屋の次の当主が準平でなければの話である。あんな男と同じ家に暮らすなんて、考えただけでもゾッとする。
いや、百歩譲って、難波屋のためなら、生涯を捧げても良い。叔父が守り続けてきた大切な店なのだから。ただし、それは難波屋の次の当主が準平でなければの話である。あんな男と同じ家に暮らすなんて、考えただけでもゾッとする。