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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち
結論はとうに出ているのに、言い出せないまま日はいたずらに過ぎた。その年も終わり、新しい年になった。当主の喪中ということもあり、難波屋では正月の行事は特に行われず、世間でいうところの松ノ内も過ぎた。
年の終わりから、何を思ったか、準平が頻繁に家に帰ってくるようになった。その日もつい三日前に顔を覗かせたばかりで、珍しく店先に出て客の応対なんぞをしたものだから、お琴は
―紅い雪が降りますよ。
と笑っていた。
年の終わりから、何を思ったか、準平が頻繁に家に帰ってくるようになった。その日もつい三日前に顔を覗かせたばかりで、珍しく店先に出て客の応対なんぞをしたものだから、お琴は
―紅い雪が降りますよ。
と笑っていた。