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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
「あなた、真っ昼間から酒を飲んでるの?」
 準平はまだ小紅と同じ十五歳のはずである。
「俺の心配をするってことは、お前は俺に惚れてるのか?」
 唐突に問われ、小紅は笑い出しそうになった。
―誰があんたなんかに惚れるもんですか!
 威勢良く啖呵を切ってやれれば気持ちも軽くなるだろうが、叔父の手前はできない相談である。
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