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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第7章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】
やがて長じて娘と所帯を持ち京屋の主人となったが、夫婦仲は冷淡なままに女房は亡くなった。そして二度目の妻となったお彩と知り合った。京屋ほどの大店の主人と職人の娘の恋に見込みはなく、二人の関係はひそやかに続いていたのだが、市兵衛はどうでもお彩でなければときかず周囲の反対を押し切って強引に京屋に入れた。
京屋をひとまわり以上も大きくした辣腕の大商人―、今でこそ一目も二目も置かれる先代も実は最初は婿上がりの成り上がりと冷たい眼で見られていた時期もあったのだ。
京屋をひとまわり以上も大きくした辣腕の大商人―、今でこそ一目も二目も置かれる先代も実は最初は婿上がりの成り上がりと冷たい眼で見られていた時期もあったのだ。