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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
「ふざけないで! 私があなたとの結婚を承諾したのは、叔父さまには返せないほどの恩義があるからよ。間違っても、あなたに対しての気持ちからじゃないわ。いいこと、これだけは憶えおいて。私はあなたと祝言を挙げても、夫婦にはならない。本当の意味での女房になるつもりなんて、金輪際ありはしないの。ただ、形だけは、あなたの妻となって、これからは叔父さまのために一生懸命尽くすつもりよ。この難波屋のために働くことが叔父さまへの恩を返すことにもなるから」