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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第1章 【残り菊~小紅と碧天】 始まりは雨
準平に再会するまでは、そこまで具体的に考えていたわけではなかった。何しろ準平と最後に逢ったのは十歳、五年も前のことになる。五年という歳月は人を変えるのに十分すぎる。しかも、当時、準平はまだ十歳の少年にすぎなかった。
子どもらしい悪戯と片付けてしまえるような行為ではなかったのも確かだが、かといって、あの出来事だけで今の準平を判断することもできない。小紅は叔父に彼との結婚を承諾したときには、まだ準平と名実共に夫婦になるつもりがないとまでは思わなかった。
子どもらしい悪戯と片付けてしまえるような行為ではなかったのも確かだが、かといって、あの出来事だけで今の準平を判断することもできない。小紅は叔父に彼との結婚を承諾したときには、まだ準平と名実共に夫婦になるつもりがないとまでは思わなかった。