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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第8章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 すれ違い
あれが女形を見た初めてのことだ。八歳の栄佐はポカンとして舞台を見つめた。美しく装い、若い職人との道ならぬ恋を儚み涙を流しているのは、どう見ても若い娘にしか見えなかった。それが今の栄佐の師匠、安田梅光の若き日の姿であった。
芝居は夢を現(うつつ)にし、見る者に夢を与える。幼い栄佐はそのことを梅光の美しい女姿に見てとった。その日から、栄佐の中に芝居に対する憧れと女形になりたいという決意が生まれた。
芝居は夢を現(うつつ)にし、見る者に夢を与える。幼い栄佐はそのことを梅光の美しい女姿に見てとった。その日から、栄佐の中に芝居に対する憧れと女形になりたいという決意が生まれた。