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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬
そのお彩が何故、仕立屋として訪れた小紅に茶菓を運んできたのか。小紅は理解に苦しみ、やや緊張を滲ませた面持ちで膝上に揃えた両手にはうっすらと汗が滲んだ。
「そんなに緊張しないで下さいな」
お彩は微笑み、塗盆からまだ湯気の立つ湯飲みと菓子皿に盛った饅頭を小紅の前に置いた。饅頭は紅葉を象っており、眼にも鮮やかな黄色と朱色に染め分けられている。薄皮ではなく、饅頭全体が餡でできている類のものだ。
「そんなに緊張しないで下さいな」
お彩は微笑み、塗盆からまだ湯気の立つ湯飲みと菓子皿に盛った饅頭を小紅の前に置いた。饅頭は紅葉を象っており、眼にも鮮やかな黄色と朱色に染め分けられている。薄皮ではなく、饅頭全体が餡でできている類のものだ。