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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐
「だから、そいつがあなたを泣かせるようなことがあれば、すぐに小紅さんを奪い返しにいきます」
若くても流石は江戸一の老舗にして大店の京屋の主人を名乗る市兵衛だけはある、鮮やかな引き際であった。
小紅が暇乞いをして立ち上がった時、市兵衛が思い出したように言った。
「そうそう、お袋が小紅さんに伝えて欲しいと言っていました。仕立物はこれからも今でどおり小紅さんにお願いするから、気張ってやって頂きたいと」
若くても流石は江戸一の老舗にして大店の京屋の主人を名乗る市兵衛だけはある、鮮やかな引き際であった。
小紅が暇乞いをして立ち上がった時、市兵衛が思い出したように言った。
「そうそう、お袋が小紅さんに伝えて欲しいと言っていました。仕立物はこれからも今でどおり小紅さんにお願いするから、気張ってやって頂きたいと」