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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第11章 第一部第三話【月戀桜~つきこいざくら~】 疑惑
耳を澄ませてみても、中からは物音はしない。人の気配がないところを見ると、出かけているのかもしれなかった。
小紅が哀しい想いで見つめていたときのことだ、突如として背後から声をかけられた。
「もし、ここは栄佐さんの住まいではありませんかね?」
振り向くと、長身の男が立っていた。栄佐ほどではないが、身の丈も男ぶりもなかなかだ。ただ全体的に荒んだ雰囲気を纏っており、右頬に大きく走っている傷跡もこの男が堅気ではないことを物語っているように見える。
小紅が哀しい想いで見つめていたときのことだ、突如として背後から声をかけられた。
「もし、ここは栄佐さんの住まいではありませんかね?」
振り向くと、長身の男が立っていた。栄佐ほどではないが、身の丈も男ぶりもなかなかだ。ただ全体的に荒んだ雰囲気を纏っており、右頬に大きく走っている傷跡もこの男が堅気ではないことを物語っているように見える。