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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第12章 第一部・第三話 【月戀桜~つきこいざくら~】 十六夜の月
大川に骸(むくろ)となって浮かんでいる父親の姿が瞼に浮かび上がってくる度、小紅はその不吉な映像を振り払うように烈しく首を振った。どんな父親でも父は父だった。女に棄てられた時、絶望し或いは自棄(やけ)になった父がどのような行動に出るか考えるのも怖ろしかった。
眠りに落ちる寸前、小紅の眼裏に浮かんだのは川面を漂う変わり果てた父の姿であった。小紅はいつしか泣きながら眠っていた。
眠りに落ちる寸前、小紅の眼裏に浮かんだのは川面を漂う変わり果てた父の姿であった。小紅はいつしか泣きながら眠っていた。